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化学物質過敏症を考える

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嗅球と脳関門からCSを考える(2)〜においの情報伝達と鈍麻〜

嗅球と脳関門
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ー嗅神経のグルタミン酸性シナプスからCSを考えるー


(1)にも記載しましたが

臭いとは揮発性のある物質(成分)です。

その臭い成分がどのように脳へ伝達するのか

 J.Japan Association on Odor Environment Vol.35 No.4 2004
 におい受容のしくみー嗅上皮から嗅球まで
 
 東京大学大学院農学生命科学研究科/ERATO
 東原化学感覚シグナルプロジェクト(2015)
 嗅覚の匂い受容メカニズム


上記論文より引用し、CSとの関係を考えたいと思います。


 ⒈においの情報伝達メカニズム


  鼻腔に入ってきたにおい分子(物質)は
  嗅上皮を覆っている嗅粘液に溶け込む。
  嗅粘液は嗅腺や鼻腺から出てくる分泌液である。
  粘液は図にあるように嗅上皮の粘液層を作り
  細胞が乾いたりダメージを受けるのを保護する。

  *経験:私はCS悪化とともにドライノーズになり鼻水が出なくなりました。
      (花粉症で粘膜腫れとくしゃみは出ても鼻水が出ない、
       風邪でも同じく。ただ寒暖の差による水っぽい鼻水は少し出ます。)

  *疑問:嗅上皮の乾燥・ダメージにより嗅覚機能への影響がないかどうか。
      この症状は免疫系の問題なのかどうか。

      
  また外界から入ってくるさまざまな化学物質を分解し除去する。
 
  *疑問:粘液層が機能していないとこれらが不可能となり
      脳への化学物質侵入が多くなるかどうか。
      細胞膜リン脂質レベルの異常が関与してるかどうか。
      分解に薬物代謝酵素が他の細胞と同じく必要ならば
      薬物代謝酵素の不活性では長くにおい成分が滞在
      もしくは多く残留し次の嗅覚受容体に
      より多く結合しないかどうか。


 粘液層に入ってきたにおい物質は
 嗅上皮の嗅細胞から伸びている嗅繊毛の表面にある
 嗅覚受容体と結合する。


粘液層から嗅球
                   図1 粘液層ー嗅球


 におい物質=においの分子は
 嗅繊毛の表面にある嗅覚受容体によって認識される。

 1つの嗅細胞には数百種類の受容体のうち
 たったひとつの受容体が発現(存在)している。

 におい分子により刺激を受けた嗅神経細胞が興奮し 
 生じた電気信号は下記ようにして嗅覚の一次中枢である嗅球に伝わり
 次に二次神経に信号が受け渡される。

 *二次神経についてはあたあらためて

 
 嗅覚受容体ににおい分子が結合すると
 受容体のGタンパク質が活性化され、結果、
 嗅神経細胞内でcAMPというセカンドメッセンジャー量が上昇する。

 その変化を感じ取りチャネルが開き細胞外から
 カルシウム陽イオンが細胞内に流入する。

 すると塩素陰イオンチャネルにが開口し細胞外へ流出。
 細胞内外に電位差(活動電位)が生まれ
 嗅神経細胞は電気的に興奮する。(グルタミン酸性興奮性シナプス)

 この電気的興奮がにおいの電気信号として
 神経を伝わり脳の一部である嗅球へ運ばれる。

  もう一種の活動電位発生は こちら


嗅球と大脳辺縁系と大脳基底核
                   図2 嗅球ー大脳辺縁系ー大脳基底核と周辺
 

 におい分子はひとつの受容体に結合するとは限らず
 複数である場合も多く
 また受容体もひとつのにおい分子とだけ結合することはない。

 におい分子が数百種類のどの嗅覚受容体と結合するか
 組み合わせがにおい分子により異なり
 そのパターン(においの地図)により識別している。

 同じ受容体を持つ嗅神経細胞の軸索はすべて収束して
 図1では糸球体は1つしか描かれていないが
 2つの糸球体に投射している。

 つまり同じ受容体を発現する嗅神経細胞は同じにおい選択制を持ち
 すべて同じ部位(糸球体)に収束するので
 におい分子により活性化された嗅覚受容体の組み合わせ
 (においの地図)がそのまま嗅球へ伝えられ識別される。
  


ーにおいの順応・鈍化(鈍麻)ー


 嗅神経細胞は電気的に興奮をした後細胞内に流入した
 カルシウムイオンによるチャネルの閉口、
 セカンドメッセンジャーの減少、受容体のリン酸化などが起きて
 しばらくの間神経は脱感作し次のにおいの刺激を受容できない。
 これは匂いに対する短期的な順応を説明するものである。
 (においの短期的順応・鈍化)

 *経験:よく香水をつけてらっしゃる方がどんどん香りを強く
     していくことがありますが
     連続して嗅神経細胞が興奮し、上記の脱感作が
     起きているからだと思われます。

     これは嗅覚が鋭敏なCSでも起こり得ると思われます。
     持続的に嗅ぎ続けていると鈍化・麻痺し
     症状はあってもにおいがわからなくなります。

     例えば私の場合
     家族のわからない室内のわずかなカビのにおいもわかりますが
     持続的に嗅いでいるとやはり鈍化してわからなくなります。
     しかし外出して帰宅すると再度わずかなカビのにおいに気づきます。
     カビのない部屋からカビのある部屋に戻っても同じです。

     空気清浄機や掃除機のフィルターなどには
     抗菌剤や殺虫成分が使用されていますが
     日常的に使用していると掃除機で体調が悪くなるにも関わらず
     何が原因かわかりませんでした。
     使用を中止しあらためて嗅いでみると
     殺虫・抗菌剤のにおいがわかりました。
     *メーカー確認済み

 *疑問:健常者の方との違いは微量なにおい物質で嗅神経細胞が
     電気的興奮をするということだと私は思います。

     そして私の思う一番のCSの問題は
     微量な成分で症状が現れることです。

     むしろ嗅覚の鋭敏さは症状を引き起こすにおい物質=化学物質を
     避けれるので助かります。

 *経験:グルタチオンにより嗅神経細胞が活性酸素から保護されるのか
     鋭敏さが鈍ります。その場合症状だけ現れることがあります。
     
 *疑問:多くの種類の化学物質に囲まれている患者さんの場合
     微量なにおい物質=化学物質で体調悪化がしているものの鈍化してしまい
     どの成分でどの症状が出ているかわからなくなっていないかどうか。
   
 *経験:実際私は避けることが可能になってから
     どの成分でどの症状が起こっているのかが
     具体的にわかるようになりました。

     避けれるようになるとにおいの順応が回避されて
     体調との因果関係がわかりやすくなりました。

     個別に症状がわかるようになると
     症状はMSDSに記載の毒性症状や論文に従い
     医薬品ならば添付書の副作用・アレルギーに
     従っていることがわかりました。
 
 *問題:ただ微量で発生してしてしまうところが
     健常者の方と違うところです。

     また、その成分にて医学的他覚所見のない
     未確認の副作用・アレルギーであることもあります。

 *経験:例:クロルヘキシジンのアレルギー(まとめ中)
       シリコンアレルギー(まとめ予定)
       どちらも嗅覚に関係ない接触性の皮膚のアレルギーです。
       (CSは嗅いだものだけに反応するわけではありません。)


まだ本題ではありませんので
ご興味ある方は続きを読んで下さいますと有難いです。


  *二次神経は 嗅球と脳関門からCSを考える(3)にて(予定)

  前梨状皮質(大脳辺縁系)
  前嗅核
  扁桃体(大脳辺縁系)
  視床下部(大脳辺縁系)
  嗅内野
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