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化学物質過敏症を考える

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有機リン製剤による不可逆的酵素阻害

農薬・殺虫剤
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有機リン系殺虫剤は筋肉(運動神経)や自律神経などの恒常性を維持する
アセチルコリンエステラーゼを阻害することは有名ですが
その他セリン加水分解酵素の阻害もし得ることから
それら酵素阻害による様々な代謝障害を懸念しています。


図は こちら を引用させていただきました。


有機リン製剤による酵素阻害


 日本救急医学会

 緊急災害医療支援学 より 


コリンエステラーゼの例ですが

エージング(不可逆的酵素阻害)と解毒について
引用させていただきます。(図にも反映させていただきました。)


有機リン剤がコリンエステラーゼと結合するとリン酸基から離れ、
リン酸化アセチルコリンエステラーゼとなる。

これは、このあと自然回復の道をとるか、
あるいはアルキル基の1つ(CH3=図ではR)がとれて、
エージング(老化)の道をたどる。

エージングしたリン酸化アセチルコリンエステラーゼに対しては、
PAM(Pralidoxime iodide:プラリドキシム)は効果がない。


ほとんと全ての神経剤のエージング時間は、
急性期症状が生じる時間よりも長い。
しかし、ソマンのエージング時間は約2分であり、
PAMの有用性は2分後には大きく減少する。

一般的には24時間以内とのことですが
種類によるようです。

また近年問題となっている
微量な有機リン剤を慢性的に暴露している場合などによる
 遅発性有機リン中毒 に有効かは資料が見つからず不明です。


 遅発性有機リン中毒 MSDマニュアルより

  治療にもかかわらず,有機リン化合物またはまれに
  カーバメート化合物の曝露から1~3日後に筋力低下(特に近位筋,頭蓋筋,呼吸筋)
  が生じることがあり(中間症候群),それらの症状は2~3週間で消失する。
  少数の有機リン化合物(例,クロルピリホス,リン酸トリオルソクレシル)は,
  曝露から1~3週間後に始まる軸索性神経障害を引き起こすことがある。
  機序は赤血球コリンエステラーゼと無関係である可能性があり
  またリスクは中毒の重症度に依存しない。
  有機リン中毒の長期間の持続性後遺症として,
  認知障害やパーキンソニズムがみられることがある。


 日本中毒学会による 遅発性有機リン中毒 

  末梢神経障害:1~3週間の潜伏期を経て発症する多発性知覚・運動神経障害で,
         下肢から上肢へと拡大する弛緩性麻痺である.
         一般に,予後不良である.

  intermediate syndrome11:服毒後数日~1週間ほどして中毒症状の遅発・再燃がみられる病態で,
                突然の呼吸停止や,致死的な不整脈を伴う心筋障害が起こる.


高濃度暴露ではない場合の遅発性有機リン中毒については
研究が始まったばかりのようで資料は限られています。
また改めてまとめられたらと思っています。


上記から考えても解毒が完全になされない場合があるということや
コリンエステラーゼ以外の酵素阻害も考えられるということです。


以下のような文献もありました。


 東京農業大学 応用生物科学部食品安全健康学科(2017)
 創薬・薬物作用解析のためのケミカルバイオロジー
 より
 

有機リン酸エステル(OP)殺虫剤による急性神経毒性についての理解は十分であるが、
致死・急性の中毒を引き起こす用量より低いレベルで
持続的に曝露された場合に起こる健康影響については不明である。

OPは、急性神経毒性標的であるアセチルコリンエステラーゼだけでなく、
多様なセリン加水分解酵素にも作用し得ることから、
未知のOPターゲット探索を行うことは重要である。

加水分解酵素にはリパーゼのように脂質代謝に関与するものが多く、
OPは脂質代謝系を攪乱する可能性が高い。


セリン残基を有する加水分解酵素は
タンパク質を分解する酵素(以下のプロテアーゼ)のうちの
セリンプロテアーゼのようです。

 セリンプロテアーゼ
 システインプロテアーゼ
 アスパラギン酸プロテアーゼ
 Znプロテアーゼ


セリンプロテアーゼの種類

 トリプシン(膵液中消化酵素)
 キモトリプシン(膵液中消化酵素)
 リポタンパクリパーゼ(中性脂肪を分解する脂質分解酵素)
   *主に筋肉や脂肪組織で作られて、血管壁の表面に存在し、
    そこで血中を流れてくるリポ蛋白(内の中性脂肪)を分解する。

 アセチルコリンエステラーゼ
   *神経組織や筋肉などに含まれている酵素
    副交感神経が興奮するとその末梢に遊離されるアセチルコリンをただちに分解し
    コリンと酢酸にする。神経系の刺激伝導に関係のある働きをする。
    中枢神経,運動神経,赤血球などにも存在する。
    有機リン剤で阻害されると中枢神経伝達物質として分泌されたアセチルコリンを分解し
    刺激を解除する酵素となる。
    この酵素を阻害すると縮瞳,痙攣,呼吸困難などを起こし,生命に危険がある。


 などの酵素


上記は 昭和大学生化学部門のHP より

引用させていいただいていますが

これら セリンプロテアーゼ も 有機リン剤 で阻害されることが表記されています。


また、単に有機リンにセリン選択制があるとするならば
その他多くのセリンが関与する酵素阻害や
DNA修復時のチェックポイントタンパクのセリン残基に付加し、
(勉強中)
(こちらも併せて読む)
何かしらの阻害をする可能性がないか
とても心配に思っています。


例えば、セリン/スレオニンキナーゼが関与する
セリンのリン酸化よりも有機リン製剤が先に付加しその機能を阻害しないかなどです。


この件については長くなるのでまた改めて記載したいと思います。
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